Quiet quitting(クワイエット・クイッティング)とは? 賛否両論を巻き起こすこのトレンドへの多角的な視点

最近、「Quiet quittingとは?」「仕事を最小限にこなす働き方」「静かな退職」「追加の仕事を引き受けない」などのキーワードが、SNSやフォーラムで多く検索され、議論を呼んでいます。では、Quiet quittingはポジティブな働き方のトレンドなのでしょうか?それともネガティブな傾向なのでしょうか?今回は、物議を醸しているこのトレンドについて深掘りしていきましょう。 

1. Quiet quittingという用語について

1.1 概念

Quiet quitting(クワイエット・クイッティング)とは?
ある見方によると、「Quiet quitting」とは仕事を最小限にこなす、または静かに職務から身を引く働き方のことを指します。この状態の社員は、解雇されない程度に「与えられた職務だけを」「きっちりと」こなすことに徹します。残業はせず、勤務時間外には通知をオフにし、会社との連絡も一切取らないという姿勢を取ります。

また、職場での人間関係でも、Quiet quittingを実践する人は同僚とのコミュニケーションを最小限に抑え、仕事やプライベートに関する会話を避ける傾向があります。会社のイベントやレクリエーション活動などにも参加せず、距離を置いた態度を取ります。

Tình trạng quiet quitting ở trong các doanh nghiệp

Quiet quitting(静かな退職)は、目立つ行動ではなく、急激に現れるものでもありません。この状態はゆっくりと、静かに進行していきます。まるで職場環境に悪影響を与えるウイルスのように、負の感情がじわじわと広がっていくのです。

Quiet quittingに陥っている社員は、ネガティブな思考に支配されることが多く、その悪循環から抜け出す手段を見つけられずにいます。

たとえQuiet quittingが「すぐに退職する」という意味ではないとしても、心の奥底ではすでに会社を離れたいという思いが芽生え始めており、「もっと良い給料」「理想の職場環境」を求めて転職を意識するようになります。

1.2 Quiet quittingの起源とは?

米国の主要な研究機関「Pew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)」による調査によると、Quiet quittingのトレンドは、パンデミック後に起きた「大退職時代(Great Resignation)」の余波であるとされています。

この大退職ブームの中、多くの企業は深刻な人材不足に陥りました。新たな人員を補充することが間に合わず、業務が滞る事態に。その結果、残された社員たちは、自分の業務以外の仕事もこなさなければならなくなり、大きな負担を強いられたのです。

Nhiều nhân viên phải đảm nhận thêm trách nhiệm của nhân viên khác

長期間にわたる過剰な業務は、社員に疲労感やストレスを与え、ネガティブな感情が生まれます。仕事から逃れたい、同僚との接触を避けたい、さらには会社の環境そのものに嫌悪感を抱くようになることもあります。これはQuiet quitting(静かな退職)の状態に陥っているサインであり、社員はもはや昇進やキャリアアップを望まず、自分の職務範囲内でのみ業務をこなそうとするようになります。

しかし、一部の専門家は、Quiet quittingの起源が中国で2021年4月に起きた「躺平(Tang ping / Lying flat)=横たわる、何もしない」運動にあると指摘しています。

当時、多くの若者が現在の働き方に不満を抱いており、従来のような目標達成のための努力は必要ないと主張していました。自分の欠点や失敗を受け入れ、変わろうとしないという考えが広まりました。

この現象に対し、中国の政府関係者はTang pingを経済発展に反する思想として非難し、即座にこのトレンドを封じ、国内のインターネット上で関連キーワードを禁止しました。

最近、「Quiet quittingとは?」というキーワードがSNS上で注目を集め、賛否を呼ぶ働き方として議論されています。多くの人は、Quiet quittingをTang pingの“海外バージョン”として捉えています。

1.3 ベトナムにおけるQuiet quittingの広がり

いくつかの調査によると、ベトナムでもBurnout(燃え尽き症候群)が深刻化しています。実に70%以上の社員が現在の仕事に不満やストレスを感じており、通常の勤務時間外に2~5時間を追加で仕事に費やしているというデータもあります。

Hội chứng Burnout

最近、ベトナムの雇用ブランドソリューションの先駆者であるコンサルティング会社「Anphabe」が、14,000人の大学生を対象にしたキャリア志向に関する調査を実施しました。その結果、Z世代の約60%が卒業からわずか1年以内に転職を経験していることが明らかになりました。

主な理由としては、新しい職場環境に馴染めない、給与や報酬制度が期待に沿わない、自己成長の機会が見つからない、などが挙げられます。

Z世代はエネルギッシュで情熱的、創造的かつ大胆な労働力です。彼らは自身の権利や正当性のために積極的に声を上げ、転職にも積極的です。しかし、もしZ世代がQuiet quitting(静かな退職)の状態に陥れば、これは将来の労働力の質に対する深刻な警鐘とも言えます。

2. Quiet quittingに対する二面性の視点

2.1 企業側の視点から見たQuiet quitting

「Quiet quittingとは何か?」という質問に対して、企業の経営陣は次のように答えています:
これは否定的な働き方の傾向であり、改善し変えていくべきものである。企業は社員が合意された目標を達成することを期待していますが、現実には多くの社員が最低限の業務しかしない「働き方」にシフトしており、創造性も向上心も見られない状態です。

この状況が長期的に続くと、仕事の生産性だけでなく、企業文化そのものが劣化し、会社の成長スピードを遅らせる要因になります。

Xu hướng làm việc tiêu cực là điều mà các doanh nghiệp cần tránh

しかし、静かな辞め方は将来的には避けられない傾向になるかもしれません。したがって、企業は制裁や禁止措置を通じて強く抑圧すべきではなく、そうすることで事態が悪化することになります。

経営陣は、企業環境に存在する否定的な感情に対処し、この危機にある個人の士気を高めるための賢い方法を見つける必要があります。

2.2 労働者の視点から

「Quiet Quitting」という働き方のトレンドは、従業員の視点からどのように捉えられるでしょうか?いくつかの調査によると、労働者は次のように考えています: 静かに辞めることは、仕事と私生活のバランスを取り戻すのに役立ちます。

Sự cân bằng trong công việc và quiet quitting
Nhiều cá nhân cho rằng Quiet quitting giúp cân bằng giữa công việc và cuộc sống. Nguồn: glints.com

彼らは割り当てられた仕事を適切に完了し、不当に扱われたり不利益を被ったりしていないと感じる程度に貢献していると感じています。さらに、企業内には、従業員が現在の仕事に専念したくない理由がいくつかあります。

  • 仕事に喜びがない
  • 仕事に対する意欲がない。
  • 労働環境は窮屈で消極的です。
  • 上司からのプレッシャーと同僚との意見の不一致。

3. Quiet quittingを見分けるサインとは?

「Quiet quittingとは何か?」という概念を理解した後、企業にとって次の課題は、自社の従業員の中にQuiet quittingの兆候が本当に存在しているのかどうかを見極めることです。経営層やマネージャーは、以下のようなサインに注目することで判断することができます。

3.1 同僚とのコミュニケーションや態度の変化

「やる気のない働き方」に陥っている社員は、自分の殻に閉じこもる傾向があります。同僚とのコミュニケーションを控えめにし、丁寧ながらも距離のある態度を取ります。

対面での会議でも、Quiet quitting状態の社員は発言を控え、個人的な意見や提案をすることが少なく、静かにその場にいるだけです。会社主催のレクリエーションやイベントにも無関心で、参加を断るケースが多く見られます。

また、勤務時間外になると、社内関連のアカウントからログアウトし、業務用アプリの通知をオフにして、上司や同僚との連絡を一時的に遮断する傾向もあります。

3.2 業務の達成度

Quiet quitting状態でも、社員は「必要最低限」の業務はこなします。業務量が多くなく、容易に終わる内容であっても、自ら進んで追加の仕事を求めることはありません。

Nhân viên ở tình trạng quiet quitting chỉ cống hiến vừa đủ

3.3 目標とキャリアの方向性

「やる気のない働き方(Quiet quitting)」に陥っている社員は、キャリアアップや自己成長への意欲がなくなります。このような状態になると、従業員の頭の中にはすでに転職や新しい職場環境への関心が芽生えており、現在の職場で長期的な目標やビジョンを描こうとしなくなります。

4. Quiet quittingを改善するための企業側の対策

Quiet quittingとは何かを理解したうえで、企業にとって重要なのは、この状態に陥る社員をいかに減らし、働きやすい職場環境をつくっていくかです。従業員への関心を深めると同時に、現在の職場環境や評価制度、KPIの設定が個人やチームの能力に適しているかを見直す必要があります。

以下は、Quiet quittingを防ぐために企業が取り組める対策の一例です。

4.1 傾聴と共有

「病気を治すには、まず病気を見つけることが大切」。企業はまず、社員の状態を正しく把握することから始めるべきです。匿名アンケートなどを通じて、社員の本音や悩みを聞き取り、職場に潜在する問題やネガティブな要素を特定しましょう。

Khảo sát ẩn danh giúp doanh nghiệp nắm được tình trạng quiet quitting

もしQuiet quittingの原因が企業内部にある場合、経営陣は状況が悪化する前に迅速な対策を講じ、社員の間でQuiet quittingが広がるのを防がなければなりません。

また、一部の社員は私生活の問題によって気分が落ち込み、仕事への意欲を失っている可能性もあります。そのような場合、マネージャーや上司は共感し、寄り添う姿勢を持ち、精神的なサポートを通じて社員がポジティブな気持ちを取り戻せるように手助けすることが重要です。

4.2 賞賛と励まし

企業は最後に社員を褒めたのはいつだったでしょうか?最近では、達成できなかった目標に対する叱責や罰則ばかりが目立っていませんか?実は、それが社員の不満を招く大きな要因のひとつです。

経営陣が定期的に各部署・個人の貢献を認め、努力を称え、モチベーションを高めるようなフィードバックを送ることで、社員の不満を和らげ、ネガティブな感情を解消し、情熱や貢献意識を再燃させることができます。

4.3 業務KPIの再評価

企業は、社員への業務負荷やKPIの設定が適切かどうかを見直す必要もあります。特定の部門に業務が偏っていないか、過剰な負担がかかっていないかなどもチェックするべきです。

適切に業務を割り当てることで、各個人やチームの能力を最大限に引き出すことができますが、逆に過度な要求や不適切なKPIの設定は、社員の疲弊や不満につながり、Quiet quittingを引き起こす原因となります。

Nhà quản trị cần phân bổ nhiệm vụ hợp lí

4.4 チームの方向性と結束の強化

Quiet quittingの状態にある社員がチーム活動への参加を拒むような場合、どうすればその殻を破らせることができるでしょうか?

企業は職場環境の中に、上司と部下の間で気軽に意見交換や個人的な悩みを共有できるような「オープンスペース」を意識的に設けるべきです。こうした短い対話の場を定期的に設けることで、社員は安心して心を開きやすくなり、コミュニケーションが円滑になります。

また、理想的な職場環境を構築し、部門間の連携を強化し、共通の目標や課題を設定することで、社員一人ひとりの連帯感と帰属意識を高めることができます。

本記事「Quiet quittingとは何か?」では、今話題となっているこの現象に対して、企業が多角的な視点から理解を深めるきっかけとなりました。もし現在、Quiet quittingが職場に広がり始めており、社員の質や企業文化に悪影響を及ぼしているのであれば、BEMOの提案を参考にして、早期に対処することをおすすめします。

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